瀬戸内海に浮かぶ静かな島、向島
夏休み、少女・澪は祖母の家で過ごすためこの地を訪れる。
懐かしくもどこか異質な空気に包まれた島で、澪はやがて不思議な夢を見始める。

畑に佇むモアイ像、海に向けて立つハート型の門、赤レンガの小道と揺れるイチジクの葉。
現実と夢の境があいまいになる中で出会う、一人の少年との出会いが澪の運命を大きく動かしていく。

どうしてこの島にはモアイがあるのか
なぜ夢の中で知らない子どもに名前を呼ばれたのか

訪れる風景はどこか懐かしく、けれど心をざわつかせる。
土地に残された記憶、語られなかった想い、そして時間を超えて誰かが差し出す何か。
澪は少しずつ、その真実に触れていく。

これは、忘れられた記憶と繋がる物語。
過去と未来、幻想と現実、そして人と人。
すべての想いが交差するとき、潮風がそっと導いてくれる。

舞台は尾道・向島・岩子島。実在するモアイ像と幻想的な風景を背景に描かれる、静かで鮮やかな夏のミステリー。
心の奥に小さな余韻を残す物語『潮の声』。その記憶は、きっとあなたの心にも届きます。

購入者レビュー

2025年8月3日に日本でレビュー済み

夏の不思議な冒険と思い出

青春の小説かつ、夏にぴったりな冒険の話と最後は心がじんわりくる話。尾道の向島に実際にあるモアイ像を取り巻くストーリーですが、この物語を読んだ後は更にモアイ像に愛着が湧きます。フィクションですが、これからこのモアイ像にいろんな人の思い出ができるといいですね。


子どもの心に残る美しい冒険物語

夏休みに読ませたい心温まる成長ストーリーでした。

高校生の澪が尾道市向島で体験する不思議な出来事を通じて、歴史への関心や友情の大切さを学べる素晴らしい作品。

この本の魅力:
〇地域への愛着が深まる
 瀬戸内海の美しい風景描写が秀逸で、日本の地方の良さを子どもに伝えられます。
〇歴史学習にも最適
 戦時中の出来事や地域の記憶を自然に学べる構成になっています。
〇友情と成長
 澪と海翔の友情、そして過去の子どもたちとの不思議な繋がりが感動的です。
〇想像力を育む
 モアイ像や古い祠など、神秘的な要素が子どもの好奇心をかき立てます。

特に良かった点:
作者の文章力で、島の風景や登場人物の心情が手に取るように伝わってきます。
難しすぎず、でも深いメッセージがあり、小学生から中学生にぴったりの内容です。

読み終わった娘は「今度家族で向島に行ってみたい!」と目を輝かせていました。
地域の歴史や文化に興味を持つきっかけにもなる、教育的価値の高い一冊です。

こんなお子さんにおすすめ:
〇冒険やミステリーが好きな子
〇日本の地方や歴史に興味がある子
〇友情をテーマにした物語が好きな子

夏休みの読書感想文にも最適です。
ぜひ親子で一緒に読んで、感想を話し合ってみてください。


読後に残る余韻が美しい一冊です

『潮の声』は、広島・向島を舞台にした幻想的な青春小説です。
モアイ像やハート型モニュメントなど実在の風景を巧みに物語に組み込み、
過去と現在、記憶と想いをつなぐ構成が見事です。

静かに進む展開の中にも深い感動があり、
特に澪と海翔の関係性には心が温まります。
読後に残る余韻が美しい一冊です。